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2018. 10. 23
「美術の窓」田邊会長の連載 第13回
「美術の窓」vol.422 2018年11月号 P70〜P71

矛と盾

連載 第13回 悠久
 
 赤みがかった褐色を基調とした縄文土器。人体を象ったようにも見える有機的なフォルムが強い存在感を放つ。区分けするように線描が引かれ、そこにまるで宝石を鏤めたようにキラキラと耀くようなさまざまな色彩が配される。そのコンポジションが画面にリズムを生み出している。
 グレーがかった水色の背景は、今にも吸い込まれてしまいそうな、不思議な魅力を放っていて目が離せない。繊細な色調の変化を孕みながら、この土器を取り巻く大気ないし時の流れを指し示すように幽かにタッチを残している。もはや呪術的ともいえる強力なオーラを醸し出す。
 悠久の時を経て、存在し続ける縄文土器。人の一生とは比べものにならない程の歳月。刻まれた時の重なりを繊細に表すような筆触を眺めていると、古今東西、これまでの人類の営みー紡いできた歴史、生み出した文化ーに想いを馳せずにはいられない。

関連サイト:
田邊哲人 作品集