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2019. 02. 27
「美術の窓」田邊会長の連載 第17回
「美術の窓」vol.426 2019年3月号 P108〜P109

矛と盾

連載 第17回 理想の女性(マドンナ)
 
 土砂を混ぜたような絵肌の深い赤の空間。鈍い黄土色で隈を取るように描かれた、弓を射る人のフォルムが画面いっぱいに浮かぶ上がる。直線と曲線でシンプルに構成されたその形姿はいわゆる土偶のような、プリミティブで力強いイメージを喚起する。縄文時代にみられる多くの土偶がそうであるように腰回りには確かな量塊感があり、豊満で理想的な女性の肢体を想起させている。
 弓を引き、矢を放った瞬間であろうか。縄文時代に専ら男性の役割だったであろう狩猟に従事する女性の逞しい姿。それは女性の社会進出が進んだ現代において、憧れの像のひとつとも言える、強かに自立した女性の姿とも重なるようだ。遥か昔の縄文時代と平成時代の終わり。画家の自由闊達な発想と描写によって、理想的な女性のイメージが約一万年もの時を超えてクロスオーバーしている。

関連サイト:
田邊哲人 作品集