[21世紀・神奈川の100人]/82 国際スポチャン協会長・田辺さん /神奈川
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◇真の世界人を育てたい−−田辺哲人さん
子供のころ、誰もが一度は経験した「チャンバラごっこ」が、世界に広がる「スポーツ」になった。
スポチャンの愛称で人気上昇中の新しい武術「スポーツチャンバラ」は71年、田辺さんが護身術の訓練をヒントに考案した。競技人口は現在20万人を超える。毎年8月には、横浜市で世界王者決定戦が行われ、約1300人が出場した今年の大会には豪州、韓国、米国などからも多くの選手が参加した。
「スポチャンの魅力は、誰もが自由にそして安全に楽しめること」と国際スポーツチャンバラ協会会長を務める田辺さんは話す。選手はプラスチック製のマスクをかぶる以外は防具を身につけない。エアーソフトと呼ばれる剣は、外側はスポンジ製で、中には空気を詰めてある。一定以上の力を加えると折れ曲がるため、大きなけがをする心配はない。
ルールも分かりやすい。「使術はすべからく護身から発達する」という考えに基づき、剣で相手の体に触れた方が勝ちとなる。相打ちの場合は、両方とも負け。流派や流儀の壁を超え、技も自由な発想で考えることが出来る。
審判は「権威」ではなく、試合をスムーズに進めるための潤滑油としての役割を果たす。勝つことに固執せず、打たれた選手は自ら負けを認めることが理想だ。半面、他の武術では考えられないが、選手が判定に不服を唱えることも認められている。
田辺さんの武術歴は長い。静岡で過ごした少年時代に剣道と相撲を始め、高校では柔道も経験した。20代前半は、さまざまな道場で剣術の腕を磨いたという。20代半ばで、現在社長を務める警備会社で仕事を始め、道場も開いた。警備員訓練に携わり、県警が開く護身術講習会の講師なども務めた。
護身術を究めていく中で、厳格なルールや閉鎖的な精神論に縛られた既存の武術ではなく、子供のころに楽しんだチャンバラこそが、武術の原点であり、実際に護身に役立つことに気付いたという。
体育の日、スポチャンを市民スポーツとして普及した功績を認められ、文部科学大臣表彰を受けた。門下生と童心に返り楽しんだ護身術の訓練が、いつの間にかスポーツとして確立していた。2年後の静岡国体では、少年の部でスポチャンがデモ競技になることも決まっている。8月に秋田で行われたオリンピック競技以外の国際大会「ワールドゲームズ」でも協賛種目として開催している。
「スポチャンでは、武術の流派も、民族も、国籍も、文化も、年齢も、性別も関係ない。誰もが壁なく競い合い、楽しめるスポーツなんです。スポチャンを通して、真の世界人を育てたい」と田辺さんの夢は広がる。 【渡辺創】
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◇たなべ・てつんど
59歳 国際スポーツチャンバラ協会会長、国際警備株式会社社長 横浜市港南区上永谷在住。
◇私の町・私の夢
横浜はふるさと。何でも受け入れる懐の深さは横浜の魅力。そんな横浜で同じく懐の深いスポチャンを年齢や性別に関係なく楽しんでほしい。(毎日新聞)
[11月20日19時25分更新]
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