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2019. 01. 22
「美術の窓」田邊会長の連載 第16回
「美術の窓」vol.425 2019年2月号 P92〜P93

矛と盾

連載 第16回 光
 
 赤みがかった暗い空間に、ひっそりと筍のフォルムが浮かぶ。その奥に朧気に現れる緑色のストロークは青竹を想起させ、竹藪をイメージさせる。
 『竹取物語』に着想を得た今作だが、「もと光る竹なむ一筋ありける」とは違い、光っているのは筍であるというユニークさ。筍の皮は幾重にも折り重なり、まるで包み込むヴェールのように、その中にいる女の子ーかぐや姫ーを大切に守っているようだ。そしてその存在を伝えるように、筍の内側からじんわりと光が滲み出る。その神秘的な光のニュアンスを、繊細に金箔を扱って巧みに表現している。画家の描き出したこの金色の光が心をとらえて離さない。霊妙さを湛えた光に誘われるように、筍の中にはどんな美しい女の子がいるのだろうか、イマジネーションの世界へと引き込まれるのである。

関連サイト:
田邊哲人 作品集