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2019. 07. 27
「美術の窓」田邊会長の連載 第22回
「美術の窓」vol.431 2019年8月号 P76〜P77

矛と盾

連載 第22回 お天道様
 
 鮮烈な赤色に染め上げられた空。これでもかと言わんばかりに大きな太陽が街の真上に浮かび、ゆらゆらと棚引く雲が、どこか神秘的なイメージを醸し出している。
 太陽は時に山頂から望む荘厳な日の出を御来光として拝まれ、仏教の日想観※1では西空に夕陽が没する姿に極楽浄土への祈りが重ねられる。また、常に私たちの行いを見守り続ける「お天道様」と、畏敬と親しみをもって呼ばれもする。昔も今も、朝も夕も、太陽が特別な存在であることには変わりはない。
 画面下方の高層ビル群は、科学技術が進歩し、人々が忙しなく生きる現代社会を表象するようだ。ビルの狭間から昇る朝日、あるいはそこに沈む夕日。それは原始的な自然豊かな風景とはあまりにかけ離れた光景かもしれない。それでも明日へと生きる私たちを「お天道様」は見守ってくれているのだと信じずにはいられない。

※1
「観無量寿経」に説かれる、仏教の修行法の一つ。極楽浄土を観想するために、西に向かって太陽の没する様を心に留めること。