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2021. 05. 27
「美術の窓」田邊会長の作品
「美術の窓」vol.453 2021年6月号 P114

大満足

 「ドカーン」耳をつんざく大音響、その大砲の火の玉は、皇居にも近い堀川一条葭屋町(よしやちょう)、京都指折りの大富豪「大和屋」の主屋をぶっとばした。文久三年八月。撃ったのは新撰組初代局長芹沢鴨だ。芹沢鴨は向かいの商家の屋根に陣取り、一尺三寸の大鉄扇を振りかざし「やれ!やれ!もっとやれ!」。一升徳利でグビグビ飲みながら大わらいである。市中が大混乱になったのは言うまでもない。その大鉄扇には「尽忠報國之士(じんちゅうほうこくのし)」と大きく刻んである。鴨はもとは水戸天狗党の組長で当時からとてつもないあばれ者。故あって京の新撰組初代組長となったが、喧嘩大好き大酒大好きは周囲のものも手のつけようがない。大和屋とのいさかいは用心棒代を「一万両」だせとの鴨の要求を無視したその態度が気にくわぬと、激怒した鴨が京都中に響きわたる大砲をみせしめのためぶっぱなし、大和屋を粉々にした。
 鴨は大満足で引き上げた、という。(田邊哲人)

関連サイト:
田邊哲人 作品集